一人ひとりと向き合った介護を行うために

介護施設に入居している高齢者のバックグラウンドというのは、実にさまざまである。
施設にいる入居者は、人生においてさまざまな経験や体験を重ねてきており、独自の考え方を持っていることも多い。
そのため、介護士は一人一人が個性的で当たり前という認識を決して忘れてはいけないのである。

自分の老後の生活や人生の最期はこのように過ごしたい、という気持ちは誰でもそれぞれが持っているものだ。
それを尊重し、そっと寄り添うことが介護においては大切なのだ。

例えば、高齢になり自分の体が衰えていっても、それをそのまま自然体で受け入れていこうと考える人がいる一方で、訓練をしてリハビリも頑張って、元気で過ごしていきたいと考える人もいる。
また、例えば病気だったとして、もう治療は必要ないと考える人もいれば、精いっぱい回復につとめたいという人もいる。
介護士はそれぞれ求めているものが違う人を相手にするのだ。そのため、それをまずは受け止めることからスタートするのが重要である。

そう考えていくと、入浴介助一つとっても、介護の仕方は同じではないということに気づくことができる。
介護をする人は大変でストレスが溜まることもあるが、入居者それぞれにしっかりと寄り添い、その人たちの気持ちや考えを大切にしていかなければならないのだ。
介護は介護を受ける人を中心に考え、介護する側のやりやすさや効率性の観点から仕事を進めるようなことはあってはならない。
それをしっかりと肝に銘じておくことが大切だ。